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「鞄」の語源と歴史

2016.05.23


 

「鞄」と漢和辞典を引くと「革をなめす職人」の意味があり、現代の日本で使われている意味が元来の中国語にはなかったようです。「鞄」は漢字で革職人を指す語であり、多くの国語辞典で「カバン」の語源は中国語で「ふみばさみ」を意味する「夾板(キャバン)」とされています。
しかし、明治期に生まれた「鞄」は革で包むの意から先に「鞄」の字があることを知らずにそのころ普及していた「カバン」という言葉の音をあてて作られた国字なのです。よって「鞄」は起源的に漢字とするのが正しいのですが、それを「カバン」と読むのは日本独自ということになります。

日本においてカバンを「ふみばさみ」と言っていた時代は、高貴な身分の人へ文を届ける際に無礼の無いように差し上げるための道具を指していました。この「ふみばさみ」は私たちが想像する手提げの「カバン」とは大きく違い、僧侶が担いで歩くものでした。

そもそも日本には手提げの携帯用具という物は少なかったようですが、平安末~鎌倉時代の初期に描かれた絵巻ものには曲げわっぱのようなものにひもをかけて担いでいる姿が描かれています。
また、江戸時代に描かれた風俗画では「風呂敷」が現在の「カバン」に最も近い用いられ方をしています。そんな中で、箱状の形ではありますが、天辺に取っ手をつけて「カバン」のように用いられた例があり、江戸で都市生活を営む人々の間で馴染みのある道具でした。
このようにして私達の使う「鞄」は変化をとげ、現在のような形になりました。