鞄の形と名称 2
2017.10.06
ここでは、カジュアルなシーンで使うものや専門的な鞄の種類をご紹介いたします。
*ランドセル*
小学生が使う背負い鞄です。ランドセルの原型は、幕末に西洋の軍隊が導入された際に身の回りの品を収納した背嚢がその後の通学時にも使用されたことによります。
*学生肩がけかばん*
主に中高生が使用している肩がけタイプの通学鞄で、主流は素材が白や生成りのキャンバスです。
*学生手提げかばん*
手提げタイプの学生の通学鞄です。明治中期から裁判官や国会議員の鞄として使われたことがきっかけに一般にも広がりました。
*カメラバッグ*
カメラとその付属品を収納して持ち運ぶための鞄です。機械がぶつからないように内側に仕切りが設けられている。
*キャディバッグ*
ゴルファーがゴルフクラブ、ボール、シューズをしまうバッグのことです。持ち運ぶゴルフクラブの本数に合わせて14本入れのフルセット用、7本入れのハーフセット用、練習用など種類がいくつかあります。
*フィッシングバッグ*
フライやルアーを収納する鞄でスポーツフィッシングをする時に使います。素早く出し入れするための細かな仕切りがあるなど工夫されていて、一般的に肩ひもがついています。
*バスケット*
竹、柳、藤、あけびなど木の枝や根で編まれて作られます。新石器時代から容器として使われていたと考えられ、現在は買い物時の入れ物や夏の装いのひとつになっています。
*リュックサック*
元は登山用の背負い鞄を意味していました。軽くて雨にも強い丈夫なナイロンなどがよく使われ、街中でも日常的に使われています。
*ルーズバッグ*
大型のスポーツバッグのひとつです。軽くて薄い素材のナイロンなどで作られ、小さく折りたたむことも出来ます。スポーツや旅行をはじめ、幅広い用途に対応していて世代や男女を問わずに使われます。
*トートバッグ*
大型の手提げ鞄の総称で、元々は女性用の大型鞄を指していました。特に有名なのが1944年に米エル・エル・ビーンが発表した厚手のキャンパス地のものです。
*ウエストバッグ*
小型のポーチとベルトが一体化した鞄です。別名「ウエストポーチ」とも言い、両手が自由になる利点があります。
*ハンディケース*
直に手で持つ鞄で持ち手やベルトがついていません。
*ハンドバッグ*
身の回りの物を入れる小型のハンドバッグです。明治時代に洋装文化が浸透し、風呂敷に代わってバッグを手に持つスタイルが広がっていきました。
このように使い手それぞれの目的や用途に合った専門的な鞄もたくさんあります。
鞄の形と名称 1
2017.02.19
鞄に対する基礎的な用語として鞄の形と名称を2回に分けてご紹介いたします。
ここでは主にビジネスシーンや旅行などで使う鞄の種類についてです。
*アタッシュケース*
箱型の形で中に仕切りが付いているビジネスバッグで、アタッシュとはフランス語で「大使または公使の随行員」という意味があります。その中でもマチの狭いものを「エグゼクティブケース」と言い、大型のものを「オーバーナイトケース」と言います。
*ガーメントケース*
内部に付いたハンガーで衣類を収納できます。このケースのおかげで車で衣類運ぶことが出来るようになったので「カーケース」とも呼ばれます。
*ショルダーバッグ*
肩にかけて持つ鞄のことを総称して言います。ビジネス用から旅行用まで用途や大きさは多種多様にあります。
*ダレスバッグ*
側面が山形になっており、上部を口金で留める大容量のビジネス用バッグです。名前の由来は1951年にアメリカのジョン・フォスター・ダレスが来日した際に持っていたのがこのタイプの鞄だったことによるそうです。
*ブリーフケース*
ビジネス用の革製鞄の総称です。イギリスで書類を入れる皮革製鞄のことをブリーフと呼んだことが名前の由来で、素材や開き方は様々なタイプがあります。
*ポートフォリオ*
二つ折りの書類を入れるための鞄で上部と左右がファスナーで開くタイプです。下の一辺を残して大きく開くので「三方開き」や「折り鞄」と言う事もあります。
*ドクターバッグ*
元々は医者が聴診器や注射器、薬品を持ち歩くための診療用鞄を意味します。現在は、その特徴のある形を参考にデザインされた日用鞄が多く見られるようになりました。
*パイロットケース*
上部を重ねて閉じる手提げ鞄です。ビジネス用から小旅行用まで多くの種類があります。別名「フライトケース」とも言い、民間航空機のパイロットが持ち歩いた鞄を商品化したことからこの名前が付きました。
*スーツケース*
代表的な旅行用鞄のひとつです。合成樹脂製のものが大半でスーツという言葉の通り「服入れ」を意味します。
*ボストンバッグ*
小型の小旅行用鞄で、開口部が広く優れた収納力があり、上部が口金やファスナーで開きます。アメリカのボストン大学の学生がよく使っていたことからこの名前がつきました。
*トランク*
長期の旅行などを目的とした超大型の鞄です。銀行の重要書類を運ぶためアルミニウム製などのものもあります。
より使いやすく、使い手に合った物をと追求していった結果、多種多様な鞄が作られました。
安心と信頼の証
2016.10.08
マークの意味をご存知ですか?
天然皮革製品は、厳正な審査を経て、品質の保証や、適正な手法での原料の輸入・加工などを証明するマークが発行されます。革の鞄や小物を安心してお使いいただけるように、代表的なマークについて紹介します。
JRA
全日本爬虫類皮革産業協同組合(全爬協、Japan Reptile Leather Industries Association)の頭文字を取ったもので、日本やアジア各国で商標登録されています。これはワニ、蛇、トカゲ、オーストリッチ等のエキゾチックレザー製品が、ワシントン条約に基づいて適正に輸入され、日本国内で製造されたことを証明するマークです。全爬協は1981年以降、該当商品にJRAのタグ、織りネーム、しおりの3点をつけて販売する事業を進めています(ベルトはタグとしおりの2点、時計バンドはシールのみ)。
ジャパンレザープライド
日本国内で生産された天然皮革素材のイメージアップを目的として作成されたマーク。国産の天然皮革を使用し、国内で製造されたバッグや小物などにこのマークのタグが付けられています。国産皮革の生産者としての誇りをもち社会的責任を果たすことへの意識を高め、消費者に安心を届けるマークです。
日本エコレザー
日本エコレザー基準(JES:Japan Eco Leather Standard)に適合し、「製品の製造・輸送・販売・再利用」のサイクルの中で、環境負荷の低減に配慮し、環境面への影響が少ないと認められた革材料。天然皮革、発がん性染料不使用、有害化学物質(ホルムアルデヒド、重金属、ペンタクロロフェノール、禁止アゾ染料)に関する検査済み、吸気が基準値以下、排水や廃棄物が適正に管理された工場における製造、染色摩擦堅牢度が基準値以下、という6つの条件をクリアした革製品のみ表示することができます。
レザーマーク
天然皮革であることを証明し、品質に対する信頼と販売促進を目的として国際タンナーズ協会が定めたマークで、一般社団法人日本タンナーズ協会がこのマークを商標登録しています。1987年以降、鞄、ハンドバッグ、靴、ベルト、手袋、衣類の6分野で、各分野に合う文字を使ったマークが使用されています。
鞄を選ぶときのポイントについて考えてみる
2016.03.15
人が鞄を選ぶときのポイントは何でしょう。決して「機能」だけとは限りません。
例えばランドセル。今は小学生にしか使われませんが、昔は立派な大人用の鞄であり、伊藤博文が大正天皇にランドセルを贈ったことが子供用ランドセルの起源だと言います。
ランドセルという鞄は、小学生自身が自分を子供だと思い込んでいるからこそ堂々と使えますが、中身は大人だと自覚してしまえば恥ずかしくなりランドセルを背負わなくなります。つまり、「ランドセルは子供だ」というイメージが小学生に他の鞄を選ばせています。機能の面で言えば、ランドセルは機能的で丈夫な鞄です。しかし、大人は決してランドセルを使いません。
その例として日本のランドセルは、海外では日本においての使い方・イメージとはまったく違う使われ方をしてブームになっていますよね。
同様に中高生が使う学生手提げかばんも、明治時代には大人が使っていました。「抱え鞄」と言って弁護士などの知的職業に従事する人の間で大流行し、その先生方の秘書が「鞄持ち」となりました。見習いのことをカバン持ちなどと言いますよね。鞄を持つのは青臭い書生の役目というイメージが「抱え鞄」に染み付いてしまい、結果的に学生用の鞄になってしまったのかもしれません。
このようなことから、鞄は「機能」というより「イメージ」によって使う人が限定されてしまうとも言えます。
大切なのは、鞄に対して2つの「イメージ」を持つことです。
鞄をどのようにどんな目的で使いたいかという「使用イメージ」と、その鞄を持つ事によって人からどのように見られたいかという「スタイルイメージ」です。鞄を選ぶ際は、このような点を自分なりに整理してみると良いですね。
鞄の定義と分類
2016.01.25
鞄は機能が単純なだけに、どんな形であっても「鞄」と呼ばれるようになりました。同じ名前で呼ばれる道具で、大きさ・材質・形においてこれだけ多種多様なものは他にはないでしょう。昭和42年、社団法人日本鞄協会は「かばん類」の呼び方が不揃いで、商売上不便であることから呼び方の統一をしました。7つの大まかなカテゴリーは※分けられ、そのときに決まった正式名称は76種類で別名も含めると109種類にもなります。
例えば、今でも使われている「ランドセル」「ボストンバッグ」「スーツケース」などです。今となっては形も想像できない「エレガントケース」「ミッチーケース」「ラヴリィーケース」などもあります。明治から大正時代に使われていた「登山袋」「半畳かばん」「大割かばん」など伝統的な名称も残っていました。消えた鞄もあれば増えた鞄もあります。時代が変わり新しい職業やスポーツ、レジャーが登場すれば新しい荷物が増え、その荷物を入れる新しい鞄が作られます。このように鞄は人類の進化や社会の進歩が直接的に反映されてきた道具とも言えるでしょう。
鞄は一人ひとりの人間にとっても、個性が反映される道具です。全ての人にとって「完璧な鞄」などこの世にはないでしょう。もしあるとすれば、鞄は使う人と共に日々変化し成長するものです。
※・「第1類 学生用かばん類」
・「第2類 事務用かばん類」
・「第3類 運動具用かばん類」
・「第4類 小旅行用かばん類」
・「第5類 長期旅用かばん類」
・「第6類 レジャー用かばん類」
・「第7類 その他」
非常に多い鞄の種類につきましては、別の記事でお伝えします。
「皮」から「革」へ
2015.07.25
皮を有効に活用する「なめし」
動物の皮は、そのままにしておくと腐敗したり硬くなったりして使えなくなります。そういった問題を解消するために発達したのが、「なめし」です。柔らかく長持ちする革を作るため、動物の油脂を塗ったり、植物の汁に付けたり、煙で燻すなど、古くから様々ななめしの技術が考えられてきました。肉は食料、皮も無駄にせず有効活用したというわけですね。古代エジプトでは既になめしが行われていたとされています。
現在では主に、伝統的な植物由来の「タンニンなめし」、大量生産可能な鉱物性の「クロームなめし」、両者の特長を生かした「混合なめし」が使われます。
ナチュラルな仕上がりのタンニンなめし
タンニンなめしとは、チェスナット(栗)やミモザなどの樹皮から抽出したタンニン(渋)を利用してなめす方法です。仕上がりは自然な風合いで、張りのある丈夫で硬めの革になります。使い込むほどに肌に馴染み色合いも変化していきますが、熱や水分に弱いという特徴もあります。タンニンなめしの代表的な革として、コードバンやヌメ革などが挙げられます。
型崩れしにくいクロームなめし
クロームなめしは、クローム化合物を利用してなめす方法です。出来上がった革は柔らかくしなやかなため、型崩れしにくいという特長があります。またタンニンなめしに比べて傷や熱に強いですが、長く使っても色合いや質感の変化はほとんどなく、使い込んで表情の変化を楽しむという点では物足りないかもしれません。
バランスの良い混合なめし
混合なめしは、タンニンとクロームを混合したなめし剤でなめす方法です。それぞれの特長を生かした仕上がりで、ソフトで使いやすく、耐久性に優れています。またゆっくりと時間をかけた経年変化を楽しむこともできます。現在、市場に出回っている革の多くは、混合なめしの革です。