バリスタ―ナイロンと普通のナイロンの違いはなんですか?
2021.01.27
バリスタ―ナイロンとは、66ナイロン強力糸を原料に作られた国内生地として最強クラスの強度を持つナイロン素材のことを指します。 (バリスタ―ナイロンは一般的にはバリスティックナイロンの名称でも知られています。)
それに対し普通のナイロンはバリスタ―ナイロンよりも薄くて軽い合成繊維からできた素材のことを指します。
最高クラスの強度を持つバリスタ―ナイロン
バリスタ―ナイロンの生地の元となる糸は、エアバッグやアメリカ軍の防弾ベストにも使用されていた66ナイロン強力糸を使用しています。糸の太さ(質量)を示すデニール数は2520D(デニール)という数値を誇ります。
※デニール(D)とは、生地の密度、繊度、糸・繊維の太さの単位のことであり、前につく数値は「9000メートルの糸の質量」をグラム単位で表したものになります。
このデニール数値が低いナイロンは、弱く、軽く、薄いものとなり、数値が大きければ、強く、重く、厚いものとなります。
(例えば9000メートルの糸が100グラムの場合、100Dとなります。)
では、一般的なナイロンは何D(デニール)かというと、薄いもので210D、通常で420D、厚いもので1000D程度になります。そのため、2520Dは通常のナイロンと比べ6倍と、圧倒的な強度を持っているのです。
因みに、海外生地メーカーのバリスティックナイロンと呼ばれるものはおよそ1680~2100Dで、通常のナイロンと比べて4~5倍の強度を持ちますが、それらの数値を超えたバリスタ―ナイロンは世界的に見ても非常に高い強度を持った素材であるということが分かります。
バリスタ―ナイロンの特徴
バリスタ―ナイロンの大きな特徴は、デニール値から見てもわかるように“耐久性”です。
熱や摩擦、切り裂きに強く防水性も高いため、アウトドア製品にも取り入れられています。見た目は生地が厚く目が粗いため、重厚感と無骨な男らしい雰囲気を醸し出してくれます。
強みは、強度だけじゃない
この強度の高いバリスタ―ナイロンは国内で製造されています。糸を生地にしていく過程のナイロンの打ち込み密度、精度が高いため、生地自体にハリとコシが生まれ、鞄になったときに自立性が高く仕上がります。また、同時に高級感も生まれます。
そして、使い込むほどに少しずつ柔らかくなり、使い手に馴染んでいきます。ナイロンには珍しい“経年変化”をする素材なのです。
バリスタ―ナイロンのお手入れ方法
使用しているうちに汚れが付いてしまった場合は、固く絞った濡れ布巾で汚れた箇所をふき取り、風通しの良い日陰に干しておきましょう。(水気がちゃんと切れていないとかえってシミになることがありますのでご注意下さい。)それでも落とせない場合は、バリスタ―ナイロン専用のスポットクリーナーを使って対処しましょう。
通常のナイロンにはない経年変化が楽しめるなんて、本革バッグの様ですね!
床革(とこがわ)って何?本革と何が違うの?
2021.01.15
まず、本革とは革の表面側の層(空気に触れる側)=“銀面”のついた革のことを指します。 それに対して床革(とこがわ)とは、革の表面である“銀面”を取り除いた“床面”すなわち内側の層の部分のことを指します。
この“床革”を使って作られるバッグや靴などは、銀面側を使う本革とは違った特徴と魅力に溢れています。
床革の特徴
・ざらざらとしており、毛羽立ちやすい=独特の凹凸感が温かみのある表情を醸し出す
・汚れやすく、水に弱い
・表面を樹脂でコーティング加工したものは汚れ、水、乾燥に強く耐久性が、従来のものより強度あ上がりました(加工がなされていないものは耐久性は低い)
・表面を樹脂でコーティング加工したものは、経年変化(エイジング)、革本来の質感を楽しめない
・本革と比べると安価に購入できる
毛羽立ちがあると先述しましたが、その素朴な風合いや手触りを活かしてレザークラフトなどに用いられたり、やすりを使って整えることでスウェード風に変化させて使われます。
床革の魅力発揮!“スウェード”
床革の一番の特徴といってもいい毛羽立ちをヤスリで整えることにより滑らかにしたスウェード。主に豚、そして子羊、子牛が用いられます。
スウェードを使う代表的な商品に靴やバッグがあげられます。銀面を使った本革製には出せないカジュアルさと上品さを兼ね備えたおしゃれアイテムです。先程の特徴にも挙げたとおり、水や汚れに弱いため定期的にお手入れしてあげることが重要です。
まず、30㎝程離れたところから全体にまんべんなく防水スプレーを吹きかけます。こうすることで水分だけでなく油分や汚れからも守ってくれます。万が一汚れが付着してしまっても、中まで染み込むのを防いでくれるため、すぐにクリーナーなどでふき取ってあげれば簡単に落とせます。時間が経つと取れてきてしまう為、ひと月に一回くらいを目安にスプレーしましょう。
あとは、日ごろからブラッシングすることが大切です。スウェード用のブラシには毛ブラシとゴムブラシがあります。
まず、毛ブラシで表面の起毛の隙間にたまったホコリやごみを取り除き、毛並みを整えます。次にゴムブラシで擦るようにして毛の奥の汚れを落とします。寝てしまった毛並みを起こすのにも最適です。最後にもう一度毛ブラシを使って毛並みを整えれば完成です。
床革を使ったスウェードはホームケアが欠かせないからこそ、手入れの度に愛着が増しそうですね。
バッグの内装素材について
2020.10.14
環境にも肌にも優しい素材“カツラギ”を使った内装
先日お客様から、弊社で取り扱っている『アストラット イタリア製ゴブラン織りのリュックサック』に使われている内装素材についてのお問い合わせがございました。
「以前、別のお店で同じような商品を購入したのですが、内装生地の上に施されたビニールのようなコーティング素材が使っているうちにポロポロ剥がれてきてしまい使えなくなってしまいました。そこで、今回検討しているバッグがそのような素材ではないか念のため確認したいです。」との内容でした。
製造元へ確認したところ、“カツラギ”を使用していることが分かりました。
カツラギの特徴は以下のとおりです。
・地球環境にやさしいオーガニック素材である。(ほとんどがコットン100%)
・肌に優しい。(アイテムの出し入れで少々手がこすれても安心)
・火に強く、作業着やコック服、消防半纏などにも利用されている。
・厚みが良くやわらかな生地なので、布団カバー、エプロン、空手着、ソファカバーなどにも利用されている。
・通気性が良く静電気が貯まりづらい。
・色のバリエーションが豊富
いかがですか?かなり高スペックな素材ですよね!
普段あまり気にしない内装素材ですが、劣化により泣く泣く破棄…なんてことがないよう、皆様も今後のバッグ選びなどに生かしてみてはいかがでしょうか?
目々澤鞄オリジナルブランドにも内装にカツラギを使用したバッグがございます↓↓↓
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本革の代役、人工素材
2016.10.13
天然革に近い質感へ
昭和20年代以降、天然皮革の代替品として合成皮革、人工皮革が開発されました。素材の品質にムラがなく安価で扱いやすい半面、経時劣化しやすく、傷の補修が困難というデメリットもあります。
合成皮革(合皮)
合成皮革は、不織布や織物といった布地の表面に合成樹脂を塗布し型押しをして天然皮革に近い質感に仕上げた人工素材です。表層の樹脂の違いにより、ポリウレタン樹脂を使用したPUレザー、塩化ビニル樹脂を使用したPVCレザーの2種類に大きく分けられます。 PUレザーはフェイクレザーと呼ばれ、しなやかで柔らかく、本革に近い質感をしています。軽量でお手入れが簡単ですが、湿気や紫外線などで加水分解を起こすので長期間使用すると劣化して表面がぼろぼろになります。一方、PVCレザーはPUレザーよりも硬くツルツルとした質感で、汚れや水に強いという特徴があります。こちらも経時劣化により表面の樹脂コーティングが割れたり、硬くなったりします。
人工皮革
人工皮革は、人工的に本革の構造や機能を再現した素材です。ポリエステルやナイロンなどの繊維を織り込んだ不織布にポリウレタン樹脂を浸透させ、その上にポリウレタン樹脂や塩化ビニル樹脂などを塗って本革のようなデザイン加工を施すことで、より天然革に近いソフトな質感や風合いに仕上げています。通気性、耐水性、耐久性、耐摩耗性に優れていますが、長期間使用すると徐々に劣化するため、本革のようにエイジングを楽しむことはできません。
さまざまな革の持ち味 2
2016.09.01
エキゾチックレザー
牛や馬などの革に対し、爬虫類、鳥類、魚類などの特徴的な模様をもつ革を「エキゾチックレザー」と呼ばれます。独特の雰囲気を醸し出すエキゾチックレザーの特徴について紹介します。 それぞれ特徴的な持ち味があり、カバン、財布小物など製品の趣を楽しむことが出来ます。
– カンガルー革 –
■カンガルーレザー(kangal ) 牛革(カーフスキン)とよく似ており、薄くてしなやかながら強度に優れた素材。高級皮革として扱われます。サッカーや野球のスパイクなど、スポーツシューズとして使用されることもあります。
– 鹿革 –
■ディアスキン(deer) 牝鹿の革。丈夫で柔軟性があり手触りのよい質感で、通気性が良く蒸れにくいのが特徴です。傷が付きやすいので取扱いには注意が必要です。
– 象革 –
■エレファントレザー(elephant) 輸出入の規制が厳しく特に希少価値の高い高級素材。厚みがあり耐久性・耐摩耗性に非常に優れています。独特の大きなシワや模様があり、コシのあるしなやかな質感です。
– 駱駝革 –
■ラクダ革(camel) 希少性が高く、欧州では高級素材として扱われる革。しなやかで厚みがあり、耐久性は牛革の約2倍といわれています。
– ダチョウ革 –
■オーストリッチ(ostrich) ダチョウの胴体の革。柔軟性で厚みがあり、強靭な耐久性を誇ります。羽毛を抜いた後にできる丸い突起(クイルマーク)が特徴ですが、このクイルマークがみられる部分は革の約4割と少なく大変貴重視されています。 ■オーストレッグ(ostrich leg) ダチョウの脚の革。爬虫類のうろこのような独特の模様があります。
– ワニ革 –
■クロコダイル(crocodile) イリエワニ、シャムワニ、ナイルワニ、ニューギニアワニの革。凸凹とした独特のうろこ模様が特徴で、革の王者とも呼ばれるワニ革の中でも最上級とされます。柔らかな質感の腹ワニ、ゴツゴツとしたハードな質感の背ワニと、使用部位によって特徴が異なります。 ■アリゲーター(alligator) アメリカに生息するミシシッピワニの革。クロコダイルと比較すると少々ハリが弱いですが、主にバッグやスーツケースなどの大型製品に使用されています。こちらも高級ワニ革として扱われます。 ■カイマン(caiman) 石ワニとも呼ばれるワニ革。背中と腹のうろこは硬く、脇腹部分が素材として使用されます。クロコダイル、アリゲーターより価値は低いですが、強度があり水や傷に強い性質があります。
– 蛇革 –
■パイソン(python) ニシキヘビの革。個性的な斑紋模様が人気の素材です。連続した美しいダイヤモンド模様の「ダイヤモンドパイソン」、石垣模様の「モラレスパイソン」などがあります。
– トカゲ革 –
■リザード(lizard) リングマークトカゲ、ナイルオオトカゲなどの大型トカゲの革。細かいうろこ模様が特徴で、爬虫類革の中でも人気の高い素材です。
– 鮫革 –
■シャークスキン(shark) サメの革。強度があり耐水性に優れているので、お手入れのしやすい素材です。凸凹した網目状のシボ(しわ)がありざらついた感触ですが、使い込むほどにツヤが出てくるのが特徴です。
– エイ革 –
■スティングレイ(stingray) アカエイの革。シャグリーン、ガルーシャとも呼ばれます。傷に強く耐水性に優れており扱いやすい素材です。ガラスビーズを散りばめたような見た目で、硬くて光沢感があります。「スターマーク」と呼ばれる白い斑点をアクセントにしたデザインが人気です。 ※注釈:小動物の革をスキンといい、大きい動物の革をハイドといいます。ハイドは大判サイズで厚手で重いです。
革だけじゃない!バッグや小物の素材
2016.08.04
天然繊維と化学繊維
鞄や小物の素材には、皮革以外に布地も多く利用されます。まここでは各素材の特徴についてご紹介します。
天然繊維には、麻・絹・羊毛などがあり、その糸の太さは「番手」で表し、その生地の厚さは「号数」で表します。
化学繊維には、アクリル・ナイロン・ポリエステル等の合成繊維と、天然繊維を原料で製造するレーヨンなどの再生繊維に大きく分類されます。その糸の太さは「デニール」で表します。
目々澤鞄のナイロン製バッグの商品ページでも デニールの表記をしていますので、是非ご確認してみてください。 デニールの数字が大きいほど糸は太くなり、記事は厚く目が粗くなります。
布地の繊維
布地は、その原料により天然繊維と化学繊維の2種類に大きく分けられます。 天然繊維には、綿や麻などの植物繊維と、絹、ウール、カシミアなどの動物繊維があります。その中でも鞄や小物に最も多く使用されているのは綿(コットン)です。素朴で自然な風合いを楽しめ、肌触りが良く通気性に優れている半面、シワになりやすく、濃い色で染色された生地は洗濯などで色落ちしやすいという特徴もあります。 一方、化学繊維には、レーヨンなどの再生繊維、アセテートなどの半合成繊維、ナイロン、アクリル、ポリエステルなどの合成繊維があります。その中でもナイロンは鞄などの生地に多く利用されています。安価で軽く、耐久性や耐摩耗性に優れており、シワになりにくく型崩れしにくいという特徴があります。バッグなどの素材に多く利用されています。また近年では、より安価で水に強くシワになりにくいポリエステル繊維を使用したバッグも人気を集めています。
ちょっとオシャレな素材
バッグや小物に使われる素材は、革や布の他にも、籐や竹、ストロー(麦わら)、紙、金属、ビーズ、ガラスなどがあります。涼しげで爽やかな印象を与える籐、竹、ストローなどは、春~夏向きのかごバッグの素材として多く使用されています。また近年では紙素材を編んで作られたペーパーかごバッグも登場し、その軽さから女性の人気を集めています。 きらきらとした金属、ビーズ、ガラスなどは、パーティーなどの華やかなシーンで使うバッグの装飾としてよく用いられます。またポーチや財布、カードケース、シガレットケースなどの小物に使われることも多く、ゴージャスで美しい雰囲気を醸し出します。
さまざまな革の持ち味 1
2016.04.10
革の個性を活かす
バッグや財布小物などの革製品には、最も比率の高い牛革から馬、羊などの哺乳類から両生類、爬虫類などのあらゆる種類の革が使用されています。また、同じ動物でも成長の度合いによって革の特徴は異なりますので、それぞれに持ち味があり、製品の趣を楽しむことが出来ます。 ここでは革製品の主な材料となる家畜の皮革について紹介します。
– 牛革 –
■カーフスキン 生後6ヶ月以内の子牛の革。きめが細かく柔らかで傷も少ないため、高級革製品の素材として使用されます。生後3ヶ月以内の子牛の革はベビーカーフと呼ばれ、高級素材として扱われるカーフスキンの中でも特に希少価値の高い素材です。 ■キップスキン 生後6ヶ月~2年以内の牛革。カーフスキンと比較するときめの細かさは若干劣りますが、やや厚みがあり丈夫です。カーフスキンに次ぐ上質な素材として扱われます。 ■カウハイド 出産経験のある生後2年以上経過した牝牛の革。厚みやきめの細かさはキップスキンとステアハイドの中間で、多くの革製品に使用されます。出産経験のない牝牛の革はカルビンと呼ばれ、カウハイドより上質とされます。 ■ステアハイド 生後3~6ヶ月の間に去勢した、生後2年以上経過した牡牛の革。最もポピュラーな牛革で、牛革製品のほとんどはステアハイドです。きめはやや粗く、厚みがあり丈夫なため使い勝手の良い素材です。 ■ブルハイド 去勢されていない生後3年以上経過した牡牛の革。牛革の中でも最もきめが粗く厚くて硬いのが特徴です。主に靴底や工業用として使用されます。 ■ハラコ 牛の胎児や生後間もない子牛の革。出産前に死んだ雌牛の胎児や死産した子牛の革を使用するため、流通量は少なく、牛革の中でも最高級素材として扱われます。 ■ジナマ(地生) 国内産の牛革。一般的に国産牛の革は管理状態が良いため、輸入牛革と比べて傷が少なく高品質とされます。
– 馬革 –
■ホースハイド 馬革。「ハイド」とは大きな動物の革のことです。牛革と比べると柔らかく滑らかな手触りですが、革の強度は劣ります。 ■ホースフロント 馬の首の革。ホースハイドよりもきめが細かく柔らかいのが特徴です。 ■コードバン 馬の臀部の革。馬革全体の約1割しか採取できない希少な革。繊維が緻密で丈夫であり、しっとりとした美しい光沢があるのが特徴です。主に革小物や高級紳士靴に使用されます。 ■ポニーレザー ポニーと呼ばれる小型の馬の革。子馬の革という意味ではありません。軽くてソフトな質感が特徴で、鞄や革小物に多く使用されます。毛付きのポニーレザーは最高級牛革とされるハラコの質感と似ているため、ハラコの代替素材として用いられることがあります。
– 羊皮 –
■ラムスキン 生後1年以内の子羊の革。軽くて柔らかく滑らかな質感が特徴です。 ■シープスキン 生後1年以上経過した成羊の革。ラムスキンと比較するときめの細かさは若干劣りますが、薄く滑らかでソフトな質感です。
– ヤギ皮 –
■キッドスキン 子ヤギの革。非常にしなやかで柔らかく生産量が少ないため、高級素材として扱われます。 ■ゴートスキン 成ヤギの革。ややきめが粗いですが、しなやかで型崩れしにくく強度があります。
– 豚皮 –
■ピッグスキン 摩擦に強く丈夫で傷が付きにくく、銀面(革の表面)に独特の毛穴模様が見られるのが特徴です。国内で自給可能な皮革素材です。 ※注釈:小動物の革をスキンといい、大きい動物の革をハイドといいます。ハイドは大判サイズで厚手で重く、牛革では重さが30ポンド(136kg)以下をスキン、それ以上のものがハイドでといいます。