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カテゴリー: バッグ・財布の基礎知識

革の個性を生み出す仕上げ方

2016.07.25

さまざまな革の加工方法 なめした革を更に加工することで、仕上がりの風合いが異なります。加工により様々な個性を出すことができ、使途の幅も広がり個性的な鞄が生まれることとなってきました。 ここでは主な革の加工法について紹介します。 抜けている仕上げ方があれば、随時追記していきますね。

革の仕上げ方

■アメ豚:豚革(ピッグスキン)をタンニンなめしして研磨し、銀面に亜麻仁油を流した、艶のある飴色の革。
■印伝:鹿やヤギなどの皮をなめして染色し、漆で模様を描いて仕上げた革。
エナメル革:クロームなめしを施した革の銀面をポリウレタン樹脂などの仕上げ剤でコーティングした革。光沢のある質感で、比較的水に強い。
■エンボスレザー(型押し革):なめした革の銀面に熱を加えて型押しし、凹凸模様をつけた革。クロコダイルやパイソンなどの爬虫類革の模様が多いです。
■オイルレザー:タンニンなめしを施した後、オイルを染み込ませて仕上げた革。ぬめり感のある独特のツヤがあり、使い込むほどに油が染み出て味のある風合いになります。
■ガラス革(ガラス張り革):クロームなめしを施した革をガラスやホーロー板に貼り付けて乾燥させ、銀面をサンドペーパーで削って合成樹脂を塗布した革。光沢が強く、滑らかで硬い質感が特徴です。
■毛皮:獣毛がついた状態で皮部分をなめした革。
■銀つき革:皮をなめして染色しただけの、最も一般的な革。銀(銀面)とは革の表面のことで、この革の表面を生かした純粋な革を銀つき革といいます。分厚い革をスライスした場合は、一番外側の革のみが銀つき革と呼ばれます。
■グレージング仕上げ革:グレージングマシンと呼ばれるガラスや金属のローラーで革の銀面を強くこすり、ツヤを出したもの。
■シュリンクレザー:なめし加工中に薬品を使用して革の表面を縮ませ、シボを目立たせた革。もみ革よりもシボ感の強い独特の風合いを楽しめます。
■スエード:革の裏面をサンドペーパーで毛羽立て、ベルベット状に起毛させた革。子ヤギの革(キッドスキン)、子牛革、羊革、豚革などが多く使用されます。毛足が短く、ソフトな手触りのものほど上質とされます。
■セーム革:鹿やヤギなどの皮を油でなめした革。きめが細かく柔らかな手触りで、洗濯ができます。
床革(とこがわ):革を2枚以上にスライスした際にできる、銀面のない部分の革。繊維が粗く強度が弱いため、価値は低いです。
■ヌメ革:成牛革や豚革などをタンニンなめしのみで仕上げた、染色・塗装が施されていない革。革本来の表情が魅力的です。
■ヌバック:牛革の銀面(表面)を起毛させた革。スエードよりも毛足が短く、ややマットでしっとりとした質感です。
■バックスキン(Buck skin):牡鹿の革の銀面を起毛させた革。現在は、本物の鹿革を用いたバックスキンは希少です。丈夫でしなやかな手触りです。
■ブライドルレザー:牛革にタンニンなめしを施した後、蜜蝋を染み込ませて仕上げた革。馬具に使用されるほど耐久性に優れ、深みのある光沢が魅力です。ブライドルレザーの特徴として、繊維の細部まで浸透した蝋が白い粉(ブルーム)となり表面に浮き出る場合があります。
■ベロア:牛革の裏面を起毛させた革。主に成牛革が使用されます。スエードと比べると毛足はやや長く、起毛が粗いのが特徴です。
揉み革:なめした革を揉み、表面に革特有のシボ(しわ)を出した革。揉むことで柔らかい革に仕上がります。

ランドセルの起源は軍の装備品

2016.06.30

「ランドセル」の語源はオランダ語

明治18年、東京に設立された学習院では、軍人が使用する「背嚢(はいのう)」に学用品や弁当などを入れ通学鞄として使用していました。この背嚢は、幕末に西洋式の軍隊制度が導入された際に取り入れられたもので、ランドセルのルーツといえるでしょう。
「ランドセル」という名前はオランダ語で背嚢を意味する「ransel(ランセル)」に由来するといわれ、現在まで受け継がれています。

伊藤博文の特注品

当時のランドセルは布のリュックサックのようなカタチだったそうです。現在のようなランドセルが誕生したのは明治20年頃のことであり、当時の総理大臣であった伊藤博文が、大正天皇の学習院入学を祝し、革製の丈夫な鞄を特注して献上したのが始まりとされています。

日本のランドセルは珍しい?

ランドセルはその後、背負うと両手が自由になるなどの長所から、小学生の通学鞄として広く普及しました。特に昭和30年代以降は全国の小学校に普及し、日本の小学生の必需品となっていきました。
実は、ランドセルのような通学鞄が普及している国は、ヨーロッパの一部を除いてほとんどありません。また通学鞄としてだけではなく、近年、海外では大人も使える実用性の高いファッションアイテムとして、ランドセルが人気を集めています。ランドセルは今や、日本独自に進化したオリジナル商品といっても過言ではないかもしれません。

「鞄」の語源と歴史

2016.05.23

 

「鞄」と漢和辞典を引くと「革をなめす職人」の意味があり、現代の日本で使われている意味が元来の中国語にはなかったようです。「鞄」は漢字で革職人を指す語であり、多くの国語辞典で「カバン」の語源は中国語で「ふみばさみ」を意味する「夾板(キャバン)」とされています。
しかし、明治期に生まれた「鞄」は革で包むの意から先に「鞄」の字があることを知らずにそのころ普及していた「カバン」という言葉の音をあてて作られた国字なのです。よって「鞄」は起源的に漢字とするのが正しいのですが、それを「カバン」と読むのは日本独自ということになります。

日本においてカバンを「ふみばさみ」と言っていた時代は、高貴な身分の人へ文を届ける際に無礼の無いように差し上げるための道具を指していました。この「ふみばさみ」は私たちが想像する手提げの「カバン」とは大きく違い、僧侶が担いで歩くものでした。

そもそも日本には手提げの携帯用具という物は少なかったようですが、平安末~鎌倉時代の初期に描かれた絵巻ものには曲げわっぱのようなものにひもをかけて担いでいる姿が描かれています。
また、江戸時代に描かれた風俗画では「風呂敷」が現在の「カバン」に最も近い用いられ方をしています。そんな中で、箱状の形ではありますが、天辺に取っ手をつけて「カバン」のように用いられた例があり、江戸で都市生活を営む人々の間で馴染みのある道具でした。
このようにして私達の使う「鞄」は変化をとげ、現在のような形になりました。

さまざまな革の持ち味 1

2016.04.10

革の個性を活かす

バッグや財布小物などの革製品には、最も比率の高い牛革から馬、羊などの哺乳類から両生類、爬虫類などのあらゆる種類の革が使用されています。また、同じ動物でも成長の度合いによって革の特徴は異なりますので、それぞれに持ち味があり、製品の趣を楽しむことが出来ます。 ここでは革製品の主な材料となる家畜の皮革について紹介します。

– 牛革 –

■カーフスキン 生後6ヶ月以内の子牛の革。きめが細かく柔らかで傷も少ないため、高級革製品の素材として使用されます。生後3ヶ月以内の子牛の革はベビーカーフと呼ばれ、高級素材として扱われるカーフスキンの中でも特に希少価値の高い素材です。 ■キップスキン 生後6ヶ月~2年以内の牛革。カーフスキンと比較するときめの細かさは若干劣りますが、やや厚みがあり丈夫です。カーフスキンに次ぐ上質な素材として扱われます。 ■カウハイド 出産経験のある生後2年以上経過した牝牛の革。厚みやきめの細かさはキップスキンとステアハイドの中間で、多くの革製品に使用されます。出産経験のない牝牛の革はカルビンと呼ばれ、カウハイドより上質とされます。 ■ステアハイド 生後3~6ヶ月の間に去勢した、生後2年以上経過した牡牛の革。最もポピュラーな牛革で、牛革製品のほとんどはステアハイドです。きめはやや粗く、厚みがあり丈夫なため使い勝手の良い素材です。 ■ブルハイド 去勢されていない生後3年以上経過した牡牛の革。牛革の中でも最もきめが粗く厚くて硬いのが特徴です。主に靴底や工業用として使用されます。 ■ハラコ 牛の胎児や生後間もない子牛の革。出産前に死んだ雌牛の胎児や死産した子牛の革を使用するため、流通量は少なく、牛革の中でも最高級素材として扱われます。 ■ジナマ(地生) 国内産の牛革。一般的に国産牛の革は管理状態が良いため、輸入牛革と比べて傷が少なく高品質とされます。

– 馬革 –

■ホースハイド 馬革。「ハイド」とは大きな動物の革のことです。牛革と比べると柔らかく滑らかな手触りですが、革の強度は劣ります。 ■ホースフロント 馬の首の革。ホースハイドよりもきめが細かく柔らかいのが特徴です。 ■コードバン 馬の臀部の革。馬革全体の約1割しか採取できない希少な革。繊維が緻密で丈夫であり、しっとりとした美しい光沢があるのが特徴です。主に革小物や高級紳士靴に使用されます。 ■ポニーレザー ポニーと呼ばれる小型の馬の革。子馬の革という意味ではありません。軽くてソフトな質感が特徴で、鞄や革小物に多く使用されます。毛付きのポニーレザーは最高級牛革とされるハラコの質感と似ているため、ハラコの代替素材として用いられることがあります。

– 羊皮 –

■ラムスキン 生後1年以内の子羊の革。軽くて柔らかく滑らかな質感が特徴です。 ■シープスキン 生後1年以上経過した成羊の革。ラムスキンと比較するときめの細かさは若干劣りますが、薄く滑らかでソフトな質感です。

– ヤギ皮 –

■キッドスキン 子ヤギの革。非常にしなやかで柔らかく生産量が少ないため、高級素材として扱われます。 ■ゴートスキン 成ヤギの革。ややきめが粗いですが、しなやかで型崩れしにくく強度があります。

– 豚皮 –

■ピッグスキン 摩擦に強く丈夫で傷が付きにくく、銀面(革の表面)に独特の毛穴模様が見られるのが特徴です。国内で自給可能な皮革素材です。 ※注釈:小動物の革をスキンといい、大きい動物の革をハイドといいます。ハイドは大判サイズで厚手で重く、牛革では重さが30ポンド(136kg)以下をスキン、それ以上のものがハイドでといいます。

鞄を選ぶときのポイントについて考えてみる

2016.03.15

 

人が鞄を選ぶときのポイントは何でしょう。決して「機能」だけとは限りません。

例えばランドセル。今は小学生にしか使われませんが、昔は立派な大人用の鞄であり、伊藤博文が大正天皇にランドセルを贈ったことが子供用ランドセルの起源だと言います。
ランドセルという鞄は、小学生自身が自分を子供だと思い込んでいるからこそ堂々と使えますが、中身は大人だと自覚してしまえば恥ずかしくなりランドセルを背負わなくなります。つまり、「ランドセルは子供だ」というイメージが小学生に他の鞄を選ばせています。機能の面で言えば、ランドセルは機能的で丈夫な鞄です。しかし、大人は決してランドセルを使いません。
その例として日本のランドセルは、海外では日本においての使い方・イメージとはまったく違う使われ方をしてブームになっていますよね。

同様に中高生が使う学生手提げかばんも、明治時代には大人が使っていました。「抱え鞄」と言って弁護士などの知的職業に従事する人の間で大流行し、その先生方の秘書が「鞄持ち」となりました。見習いのことをカバン持ちなどと言いますよね。鞄を持つのは青臭い書生の役目というイメージが「抱え鞄」に染み付いてしまい、結果的に学生用の鞄になってしまったのかもしれません。

 

このようなことから、鞄は「機能」というより「イメージ」によって使う人が限定されてしまうとも言えます。

大切なのは、鞄に対して2つの「イメージ」を持つことです。
鞄をどのようにどんな目的で使いたいかという「使用イメージ」と、その鞄を持つ事によって人からどのように見られたいかという「スタイルイメージ」です。鞄を選ぶ際は、このような点を自分なりに整理してみると良いですね。

 

 

明治時代を代表する小物

2016.02.28

名刺入れやがま口の登場

小物とは財布、定期入れ、名刺入れなどの総称です。明治時代の小物、袋物の多くは煙管(きせる)で吸う「刻みたばこ入れ」だったそうです。価格は4円~40円(現在の2万円~20万円程度)で、高級なものもあったようです。また当時は、葉巻の舶来に伴う葉巻入れや、口金の輸入によるがま口、名刺入れなどの商品も新たに登場しました。
明治時代以降、煙管から巻きたばこが主流となるにつれ、刻みたばこ入れは巻きたばこ入れに姿を変えていきます。やがて現在のようなパッケージに入った巻きたばこが販売されるようになり、たばこ入れの需要は激減しました。

目々澤鞄の会社概要でもご案内の通り、カバン店として店を構える前身はこの喫煙具を販売していました。禁煙化が進む現在、メーカーのタバコケースの生産が減っている中、まだ必要とされている方々のために、オリジナル商品をはじめシガレットケースを積極的に販売しております。また、健康志向、健康ブームにのり需要が爆発的にふえているiqos を収納するアイコスケースもオリジナルブランドから発売しております。

藩札と長財布

紙幣が流通するようになった江戸時代には、各藩が独自に発行した藩札という紙幣が使用されるようになり、その藩札を入れるために財布、特に長財布が広まったといわれています。
明治時代以降は紙幣が発行されるたびに長財布の需要は増加していったようです。また、口金の改良に伴い、がま口も人気が高まっていったといわれています。

二つ折り財布の登場

第二次世界大戦後クレジットカードが使われ始めると、カードポケットのある二つ折りの財布が登場しました。その後、コンパクトで持ち運びやすい二つ折り財布は、クレジットカードが普及するにつれて急速に広まっていきました。

風合いを変える「染料」と「顔料」

2016.02.14

染料の発達

現在では見た目、ファッション性の為に色をつけていますが、元々、革を染めるのは変色防止という実用性が目的といわれています。革を利用してきた長い歴史の中で、さまざまな染料や染色法が考え出され開発されてきました。古くは植物や果実などを利用していたようですが、合成染料の出現とともに多様な色調の染色が行われるようになりました。
現在の染色方法は、大きく分けて「染料染め」と「顔料染め」の2種類があります。

わかりやすくいうと 「染料染め」 は水溶性染料、 「顔料染め」は 水に溶けない顔料 を使っているということです。

革の質感が生きる染料染め

染料染めは、タイコと呼ばれる丸くて大きなドラムに革、水、水溶性染料などを入れて回転させ、時間をかけて染める方法です。
天然皮革には生きていた時の傷やシワ、血筋のあとなどがついています。染料染めはこれらがそのまま残り、革本来の表情を味わえる自然な仕上がりになります。一方で、水分に弱く、色落ちしやすいという特性もあります。水分による退色や、衣服への色移りが生じる場合があるので、濃い色の皮革製品を扱う際は薄い色の衣服は避けた方が良いでしょう。

目々澤鞄の人気革製ブランドバッグで染料そめのものをご紹介します。

ファービス(Farvis) アレグロ(ALLEGRO) ブラフポップ(Bluffpop) クロスロード(CROSSROAD) P.I.D.(アルビダ・ラシオ・ヴァスト)
LUGARD(如浄) ラガード(LUGARD)それ以外は染料と顔料を併用 

ハミルトン(HAMILTON)、ブレーザークラブ(BLAZER CLUB)の黒以外、だだし22093オイルヌメは黒も染料

Dakota 後述例外商品(色限定)以外はすべて染料、モデルノ、デイジーのオークベージュのみ染料のあとに顔料使用

汚れや傷に強い顔料染め

また、顔料染めは、非水溶性の顔料で革の表面を覆うように着色する方法です。革をコーティングすることで革本来の味わいは感じにくくなりますが、天然皮革特有の傷やシワなどをカバーでき、時間が経っても新品のような色味を楽しめます。水や汚れに強く、色落ちもほとんどないのでお手入れしやすいのも特長で、現在は多くの皮革製品に使用されています。

つづいて 顔料染めの鞄ブランドをご紹介します。 

ブレーザークラブ(BLAZER CLUB)の黒のみ、Dakotaダコタのモデルノ、デイジーのオークベージュのみ

普通は一見しただけでは、染料染と顔料染の見分けは難しく

顔料は表面にのみに塗り付けているので、中は染まっていない。 染料は表面も中も染まっているのが見分ける方法ですが、製品になっているとお客様はわかりませんよね。どうしても知りたいという場合は、お気軽にお問い合わせください。

鞄の定義と分類

2016.01.25

鞄は機能が単純なだけに、どんな形であっても「鞄」と呼ばれるようになりました。同じ名前で呼ばれる道具で、大きさ・材質・形においてこれだけ多種多様なものは他にはないでしょう。昭和42年、社団法人日本鞄協会は「かばん類」の呼び方が不揃いで、商売上不便であることから呼び方の統一をしました。7つの大まかなカテゴリーは※分けられ、そのときに決まった正式名称は76種類で別名も含めると109種類にもなります。

例えば、今でも使われている「ランドセル」「ボストンバッグ」「スーツケース」などです。今となっては形も想像できない「エレガントケース」「ミッチーケース」「ラヴリィーケース」などもあります。明治から大正時代に使われていた「登山袋」「半畳かばん」「大割かばん」など伝統的な名称も残っていました。消えた鞄もあれば増えた鞄もあります。時代が変わり新しい職業やスポーツ、レジャーが登場すれば新しい荷物が増え、その荷物を入れる新しい鞄が作られます。このように鞄は人類の進化や社会の進歩が直接的に反映されてきた道具とも言えるでしょう。

鞄は一人ひとりの人間にとっても、個性が反映される道具です。全ての人にとって「完璧な鞄」などこの世にはないでしょう。もしあるとすれば、鞄は使う人と共に日々変化し成長するものです。

 

本

 

※・「第1類 学生用かばん類

 ・「第2類 事務用かばん類

 ・「第3類 運動具用かばん類

 ・「第4類 小旅行用かばん類

 ・「第5類 長期旅用かばん類

 ・「第6類 レジャー用かばん類

 ・「第7類 その他」

非常に多い鞄の種類につきましては、別の記事でお伝えします。

鞄に関する法律2ー素材の表示ー

2015.09.29

◆素材の表示について

消費者の利益を保護するため「家庭用品品質表示法」により素材名および表記方法は、製造業者や、私たち販売業者が法令を遵守する義務があります。

「家庭用品品質表示法」で指定されている鞄に関して素材の表記する事項は、①皮革の種類と②手入れ方法と保存方法です。

①皮革の種類
表示法の指定用語は牛革、馬革、豚革、羊革、やぎ革。

牛革
→取っ手その他の付属品が取り付けられていない状態における外面の面積(たれで被覆される部分を除く)の60%以上が表皮付きの牛革のもの

馬革、豚革、羊革、やぎ革、牛革・馬革混用、牛革・豚革混用、馬革・豚革混用
→外面の面積の60%以上が表皮付きのそれぞれの革を使っているときいずれかを表記する

②手入れ方法と保存方法
・素材に合ったクリーナーや中性洗剤、クリームなどで手入れをする旨。
・濡れたときは、陰干しで乾かす旨。
・湿度の高い場所での保存は避ける旨。

次に合成皮革と人工皮革についてです。素材の表示としては表示法の指定用語には含まれませんが、消費者の誤認がないように業界では以下※1を「標準指定用語」としています。
その他の特殊な素材については革を粉砕して樹脂などに混ぜてシート状にした再生革、合成皮革を「標準指定用語」とし、2つのうちどちらかを表記します。

※1
・合成皮革
(ポリウレタン合成皮革、塩化ビニール、人工皮革をまとめて)
・人工皮革
(人工皮革のみ)

 

◆注意すべき表記

1、防水・撥水加工
防水加工は、生地の裏側まで水を通さなくする加工です。水漏れや浸透を完全に防ぎ、強い雨でも水を通さないのが特徴です。隙間がない分、空気や水蒸気を通さないので蒸れやすいという弱点はあります。

撥水加工は、生地の表面もしくは生地を構成する糸に撥水コーティングを行うことで水を弾きやすくする加工です。コーティングしても布地のすきまは塞がれないので、空気や蒸気は布の外に排出され蒸れにくい特徴があります。

2、抗菌防臭加工
悪臭のもととなる細菌の増殖を抑え、臭いの発生などを防ぐことを目的とした加工です。

3、防汚加工
繊維にしみや汚れを付きにくくしたり、付いた汚れを洗濯で落ちやすくしたりした加工のこといいます。

上記3つは代表的な加工で、特に防水・撥水加工は間違えやすいので注意が必要です。

 

むずかしく書いてしまいましたが、毎日どのように画像や文章を表示したらよいか、お客様からご要望や問い合わせがあれば、すぐにページの修正をするように心がけています。

鞄に関する法律1ー原産国の表示ー

2015.09.26

◆原産国の表示について

原産国の表示を義務付ける法的な規制はありませんが、消費者に誤認を与えるような不当な表示の禁止は法律で規定されており、ユーザー様は表示による誘引から保護するようにされています。

しかし、近年では生産工程の種類がふえ、多国籍化が増えていること、商品本体やタグ・シールに外国語が使われている事が多く、消費者に誤認を与える恐れがあります。

また、原産国とは商品の内容に実質的な変更をもたらす行為が行われた国の事を指すため、簡単な部品の組み立てをする事は含まれていません。別国で加工された場合は、欄外もしくはタグ等に宣伝として表示されています。

<実質的変更以前の資材>
①素材:皮革、合成皮革、布帛
②部材:裁断後の素材、スキ加工、のり付け・へり返し・ネン引き、装飾加工を施した素材、編みたて・成型された部材

<原産国>
③加工:縫製、組み立て

<実質的変更行為に含まず>
④追加的加工:加工済みの取っ手やショルダーの取り付け、ネーム縫い付け、ブランド金具の取り付けや素押し、箔押し、後プリント加工、財布の表と裏の合わせなど
⑤仕上げ:検品、付属品の添付
⑥パッケージ:袋・箱詰め、バーコードの貼り付け、値札・ブランドタグ取り付け
これらは原産国表示の欄外やタグ、ラベル等に任意で表示する

20170927-1

このような仕組みがあるため、どのような国がどの部分で関わっているのか表示をしっかり見て判断する必要があります。